メタバースは流行るのか?

2021年10月、フェイスブックがメタと社名を変えました。元々少数ですがメタバースを開発している会社がありましたが、社名変更のころからメタバースの可能性を信じた会社が増え、メタバース開発競争がはじまっています。小規模なものは半年でリリースの期間なので4月になったところで色々な会社から○○メタバースとプレスがうたれている記事を目にする機会が増えてきました。
メタバースを体験できる機会が増えるのはメタバース普及につながるキッカケになるので嬉しいことですが実際普及につながっているのでしょうか。興味深い記事を拝見しました。

DappRadarによると過去30日、アクシー・インフィニティの1日あたりの平均ユーザー数は30%減少して約10万7240人、ザ・サンドボックスは29%減少して1180人、ディセントラランドは15%減少して978人になっている。

引用元:CoinDesk Japan 人気メタバース、ユーザー数が伸びず──市場の期待を下回る

3大メタバースと呼ばれるプラットフォームの中で最もユーザー数が多いアクシー・インフィニティが約10万7240人、PCゲーム配信最大手のSteamにて最もユーザー数が多いロストアークが約130万4760人。グラフにすると下のようになります。(図1)

図1.メタバースと人気オンラインゲームのアクティブユーザー数比較

※ロストアークのアクティブユーザー数はSteamChartsから引用

 メタバースとオンラインゲームとでは育ってきた業界年数が違います。たった数年のメタバースが10万以上のアクティブユーザー数を誇るのは素晴らしい数字です。しかし、現状のメタバースは仮想世界で生活をするという意味ではオンラインゲームと似た点が多いです。オンラインゲームは進化の過程でコンテンツ量とコンテンツの質が向上していきました。最初は2Dのみでしたが3Dが当たり前になり、現在では映画のような派手でリッチな演出が多く見受けられ若年層だけではなく中年層もゲームに満足することができるクオリティまで昇華しています。
ビジネスの世界にハイプ・サイクルという技術の社会的適用度を表す考え方があります。黎明期から「過度な期待」のピーク期があり、ピーク期から一転、幻滅期というユーザーの関心が薄れていく期間が存在します。 現状のメタバースはまさにピーク期であると私は考えています。メタバースという言葉が先行し、コンテンツ量やコンテンツの質が追いついていない現状にユーザーは徐々に気づいてくるでしょう。それから到来する幻滅気がメタバースに訪れるでしょう。

これから来る幻滅期を乗り越えるメタバース

 元々メタバースの前身であったVRも幻滅期を乗り越えました。2016年にPlayStationVRなどの高性能コンピュータに接続することで動作する自由に動けるVRが発売された頃からVRの開発は加速しましたが一般に普及はせず幻滅期が訪れました。その中、メタ社(元フェイスブック)が2020年にOculusQuest2という格安で高性能でコンピュータに接続せずに動作するVRゴーグルを発売して幻滅期を乗り越えた過去があります。

 ここからは執筆している個人的な主観の話になります。流行らせるためにはVRと同じようにメタバースに最適化されたハードウェアが必要になるのではないのでしょうか。メタバースにも2種類の派閥があり、VRメタバースとARメタバースがあります。VRメタバースは現実とは別に新しい世界を創造し生活する思想です。ARメタバースは、現実に情報を融合して現実を豊かにする思想です。VRメタバースの場合はVRゴーグル。ARメタバースの場合はARグラスが必要になることでしょう。どちらも、スマートフォンのように全員が使用しているレベルの製品が発売された時、幻滅期を乗り越えメタバースが一般化する日が来ると確信しています。

メタバースが目指すポストスマートフォン

これから流行るかもわからないメタバースに多くの企業が出資し開発を行っているのでしょうか。メタバースには生活を変える可能性が秘めているからだと私は考えています。多くのユーザーがスマートフォンを使用した結果、世界は大きく変わりました。そのタイミングでスマートフォンに関する事業をしていた会社は大きく成長し現在も残っています。スマートフォンがメタバースに世代交代するタイミングで事業を行っていた企業は大きな成長を遂げることになるでしょう。我々ユーザーは本気で世界を変えるために作られた素晴らしい製品を使って日常を便利に過ごしていきたいところです。

メタバースは流行ります

メタバースは流行ると確信しています。スマートフォン以上に便利でシームレスに体験ができる技術です。便利なものは徐々に他技術を淘汰して一般化していきます。しかしそれは5年後、もしかしたら10年後だと考えています。まだ実用に耐えうるレベルの製品が発売しておらずスマートフォンですら1、2年で流行ったわけではないからです。(図2)

2人に1人が使用するまでに2011年から2015年の4年がかかっています。仮に5年後に流行るとした場合に、流行ってすぐに優れたプロダクトをつくることは不可能です。メタバースの開発は数カ月で終わるものではありません。そのため、企業は今の段階から開発を始めているのでしょう。メタバース幻滅期を乗り越えるXデーに備えて。

図2.ケータイ・スマートフォン所有者のうちのスマートフォン比率

出展:モバイル社会研究所 スマートフォン比率94%に:2010年は約4% ここ10年でいっきに普及 

 

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